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老後いくら貯金があれば良いのか?という質問が意味をなさない時代へ

安心した老後を過ごすには貯金がどれくらい必要?

安心した老後を過ごすには、退職するときに最低3000万円の貯金が必要だとか、夫婦の場合は1億円必要といった数字が飛び交っています。このような数字は、あまり鵜呑みにしないほうが良いでしょう。

今50代、60代の方は、退職した後の生活が今の貯金額で成り立つのか、真剣に考えておくのは良いことです。でも、今30代、40代の方は、老後に必要な貯金額はいくらか?という考えは捨て去りましょう。なぜなら、老後に必要な貯金額を算出する計算式(モデル)が徐々に破たんしてきているからです。

引退後に必要な貯金額の算出には、一般には次の計算式を使います。

引退後に必要な貯蓄額=(老後の生活費-年金受給額)×(平均寿命―退職年齢)

例えば、次のようなモデルケースの場合、
・老後の生活費:30万円/月
・年金受給額:20万円/月
・平均寿命:90歳
・退職年齢:65歳
引退後に必要な貯蓄額=(30万円-20万円) x 12カ月 x (90歳 – 65歳)=120 x 25 = 3000万円 となります。

このような計算式で導き出された3000万円という情報を真に受けて、老後まで何とかお金を貯めようとする人生戦略は、私は問題があると考えています。

教育→仕事→引退という3ステージモデルの崩壊

これまで(おそらく今から20年くらい先まで)は、人生は一般的に3つのステージに分けることが出来ました。小中高、大学で学ぶ「教育」のステージ、学校を卒業して会社に勤める「仕事」のステージ、そして定年退職して引退する「引退」ステージです。

この3ステージモデルの場合、収入を得る期間は「仕事」ステージのみです。そして、仕事から引退に移った瞬間に、収入が途絶える(年金のみ)のが一般的です。この場合は、引退してから死ぬまでの期間、足りない生活費を貯金を切り崩して生活するというモデルになってしまいます。

平均寿命が一定で、人口構成も変化のない時代なら、ずっと「引退時に必要な貯金額算出モデル」は有効ですが、実際はどうでしょう?平均寿命は伸びる一方で、老齢人口も増える一方。おそらく将来は退職年齢も引き上げられることでしょう。

今後は、この3ステージのモデルは徐々に崩壊していくと捉えておくべきです。

これからの働き方

仕事→引退して収入ゼロというモデルに従う人は、少しずつ減少していくと予想しています。

定年退職したサラリーマンは何をしているのかというと、特に趣味もなくテレビをぼーっと観ている老人が多いようです。テレビをみて、誰ともコミュニケーションを取らない生活が続くと、脳や体力が衰えます。認知症になる可能性も高まるでしょう。

社会との接点を維持して健康的で文化的な生活をするには「活動する」ことが大切です。

(続く)