カテゴリー別アーカイブ: 貯金コラム

ベーシックインカムを日本で導入することは可能?賛成・反対意見と海外の導入事例を紹介。

ベーシックインカムとは?

ベーシック・インカムとは、政府がすべての国民に無条件で必要最低限の現金を支給する政策です。ベーシック(Basic) インカム(Income)の頭文字からBI(ビーアイ)とも、基本所得保障、国民配当などともいいます。

「全ての国民に無条件で」というのが、受給条件の厳しい生活保護などの社会福祉と大きく異なるところです。

ベーシックインカムとは:政府など公的組織が全ての成員に対して、 基本的な生活に資する現金を無条件かつ定期的に給付する制度

ベーシックインカムを日本で導入するには、いくら必要?

1億2千万人の国民にそれぞれ1ヶ月毎に10万円を支給するとしたら、1年に必要な財源は144兆円です。これは日本の国家予算を超えた金額ですので、日本でBIを導入することは不可能であることがわかります。

月々支給する金額を、1万円から10万円まで1万円刻みで計算したものが次の表です。
 消費税・法人税・所得税などのすべての税率を2倍にして、増えた税収分を全てBIに回せば月4万円弱の支給が可能となる計算です。しかし、税率2倍などは日本経済に大きな影響を及ぼしますから、とても実現可能とはいえないでしょう。(消費税8%->10%への引き上げでも、消費が冷え込むと言われていますから)

ベーシックインカムを選挙に利用するな

いつの時代も、ベーシックインカムを公約として掲げて選挙に利用する人がいます。BIの理念は大変素晴らしいものですが、実現できないものを公約として票集めに利用するのは、信用を大きく損ねることになります。

私は、ベーシックインカムを政治利用する政党には絶対に投票しませんので、このサイトをご覧の皆さんも良く考えて投票先を選びましょう。

海外のBI導入事例

まだベーシックインカム導入に成功した国はありません。ヨーロッパで実証実験が開始された段階ですので、BIの効果については不明なことが多い状況です。

フィンランド

 2017年1月1日から、ヨーロッパ地域で初めて国家レベルでベーシックインカムが試験導入されることになりました。しかし、2017年1月1日から2018年12月までの2年間、かつ失業者2000人に限定など、ベーシックインカムの根幹である「無条件で全ての国民に」を前提とした導入試験ではありません。BI対象者には、560ユーロ(日本円でおよそ6万8000円)が毎月支給されます。2018年まで導入試験の結果は非公開なので、誤報には注意しましょう。
 全国民から無作為に2000名を選択したほうが、BI導入によって労働意欲の減退が本当にあるのか、働き方の変化などが調査できるのに、今回の実証実験で失業者に限定してしまったのは非常にもったいないことだと思います。

老後いくら貯金があれば良いのか?という質問が意味をなさない時代へ

安心した老後を過ごすには貯金がどれくらい必要?

安心した老後を過ごすには、退職するときに最低3000万円の貯金が必要だとか、夫婦の場合は1億円必要といった数字が飛び交っています。このような数字は、あまり鵜呑みにしないほうが良いでしょう。

今50代、60代の方は、退職した後の生活が今の貯金額で成り立つのか、真剣に考えておくのは良いことです。でも、今30代、40代の方は、老後に必要な貯金額はいくらか?という考えは捨て去りましょう。なぜなら、老後に必要な貯金額を算出する計算式(モデル)が徐々に破たんしてきているからです。

引退後に必要な貯金額の算出には、一般には次の計算式を使います。

引退後に必要な貯蓄額=(老後の生活費-年金受給額)×(平均寿命―退職年齢)

例えば、次のようなモデルケースの場合、
・老後の生活費:30万円/月
・年金受給額:20万円/月
・平均寿命:90歳
・退職年齢:65歳
引退後に必要な貯蓄額=(30万円-20万円) x 12カ月 x (90歳 – 65歳)=120 x 25 = 3000万円 となります。

このような計算式で導き出された3000万円という情報を真に受けて、老後まで何とかお金を貯めようとする人生戦略は、私は問題があると考えています。

教育→仕事→引退という3ステージモデルの崩壊

これまで(おそらく今から20年くらい先まで)は、人生は一般的に3つのステージに分けることが出来ました。小中高、大学で学ぶ「教育」のステージ、学校を卒業して会社に勤める「仕事」のステージ、そして定年退職して引退する「引退」ステージです。

この3ステージモデルの場合、収入を得る期間は「仕事」ステージのみです。そして、仕事から引退に移った瞬間に、収入が途絶える(年金のみ)のが一般的です。この場合は、引退してから死ぬまでの期間、足りない生活費を貯金を切り崩して生活するというモデルになってしまいます。

平均寿命が一定で、人口構成も変化のない時代なら、ずっと「引退時に必要な貯金額算出モデル」は有効ですが、実際はどうでしょう?平均寿命は伸びる一方で、老齢人口も増える一方。おそらく将来は退職年齢も引き上げられることでしょう。

今後は、この3ステージのモデルは徐々に崩壊していくと捉えておくべきです。

これからの働き方

仕事→引退して収入ゼロというモデルに従う人は、少しずつ減少していくと予想しています。

定年退職したサラリーマンは何をしているのかというと、特に趣味もなくテレビをぼーっと観ている老人が多いようです。テレビをみて、誰ともコミュニケーションを取らない生活が続くと、脳や体力が衰えます。認知症になる可能性も高まるでしょう。

社会との接点を維持して健康的で文化的な生活をするには「活動する」ことが大切です。

(続く)